ハ・ワン「あやうく一生懸命生きるところだった」 [本]
本のレビュー記事もずいぶん久しぶり(^_^;)
韓国でベストセラーになったというエッセイ。
作者のイラストレーターさんは、40歳を期に
「今日からは必死に生きないようにしよう」と
心に決めて、自分の今までの生き方に疑問符を
突きつけ、新しい答えを見つけていきます。
自分は今、61歳。人生の折り返し点をはるかに
過ぎて、もう残りの方が少ないのが現実です。
これからどう生きるのか、と考えさせられる本。
韓国語の翻訳ものですが文章もスラスラ読めるし
あちこちに登場するイラストが実に味わい深い!
ちょっと下にあげてみますね。
真梨幸子 「人生相談。」 [本]
新聞の人生相談に投書された色んな出来事を軸に
短編の話の登場人物が、複雑にからみあうという
なんともややこしい短編集のような長編?小説。
めっちゃ多くの人物が次々、からんでくるんで
混乱してまた最初の話に戻って読んだり(^_^;)
メモを取りながら読んだ方が良くわかったかも。
まあ、そんなめんどくさい一面もありますが、
ストーリーは、わくわく、ぞくぞくする感じで
私的には好きな作品でした!
何も知らずに本屋で手に取って買った本ですが
この真梨さん、イヤミスの女王なんだそう!
そうと知ってたら買わなかったかも(^_^;)
湊かなえさんとかも、ちょっと苦手なんですわ。
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坂井希久子 「ヒーローインタビュー」 [本]
阪神タイガースで、一軍になかなか定着できない
仁藤全という選手の物語。彼のチームメイトや、
幼馴染やその父親、プロ入りを誘ったスカウト等、
多くの周りの人が、彼の思い出を語る構成です。
阪神の金本や桧山、中日の山本昌、谷繁なんかが
金谷、絵山、山村昌、谷山という名前で登場して
いかにも言いそうな発言をするのも笑えますよ。
ラスト近く、一軍試合の代打で登場するシーンの
手に汗握る臨場感ある描写も素晴らしいです!!
武骨で純朴で不器用な生き方しかできない主人公、
もどかしいけど、つい応援したくなりますよ。
とにかく読後感が爽やか!阪神ファンはもちろん、
プロ野球に興味ない人にも強くお勧めの一冊!
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原田マハ 「本日はお日柄もよく」 [本]
お気楽OLが友人の結婚式で聞いたスピーチに
触発され、スピーチライターを目指すお話。
登場人物がみんないい人ばっかりで、読んでて
清々しい気持ちになる本ですよ!
読みやすい文体で、言葉の持つ力の偉大さを
教えてくれます。笑えるし、泣ける所もあるし、
スピーチの極意も学べる本でもあります。
私、物語に登場するいくつかのスピーチ事例に
電車の中やのに、泣いてしまいました(^_^;)
涙腺ゆるい人は、読む場所に注意必要ですよ!
落語とかバンドとか、人前で話す機会の多い私。
短時間でどう人の心を掴むか、苦労してますが
もう一度勝負してみようという気になりました!
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最後に、この本の中で私が好きな部分を抜粋しますね。
困難に向かい合ったとき、もうだめだと思ったとき、想像してみるといい。
「三時問後の君、涙がとまっている。 二十四時間後の君、涙は乾いている。
二日後の君、顔を上げている。 三日後の君、歩き出している。」
どうだい? そんなに難しいことじゃないだろ? だって人間は、そういうふうに
できているんだ。とまらない涙はない。乾かない涙もない。
顔は下ばかり向いているわけにもいかない。歩き出すために足があるんだよ。
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戸梶圭太 「嘘は止まらない」 [本]
一時期、狂ったように読んでた戸梶圭太作品。
反動なのか、急に冷めて長い間、離れてました。
たまたまブックオフで発見し、108円で購入。
戸梶作品の特徴の、どうしようもないクズ人間が
ドタバタの中で、脳味噌や内臓をまき散らかす
スプラッターなパターンはほとんど登場しなくて
正直言って拍子抜けな感じは否めませんね。
もっとハチャメチャなんを期待してたのに・・・。
ンゴラス王国の大使をネタに一攫千金を狙う
詐欺師のお話。全編を通して軽く読めるけど
読後に何の感動も残らんので、ご注意下さい。
108円で買ったんで、後悔はないけど(;^_^A
今野 敏 「隠蔽操作5・宰領」 [本]
大阪在住の元上司のNさんが送ってくれた本です。
テレビドラマ化もされてる「隠蔽捜査」シリーズ。
ある事件で警察のキャリアから大森警察署長に
降格された竜崎署長が、誘拐事件を解決する物語。
いつものように、頑なに自分の意志をまげない
竜崎の周りで警視庁と神奈川県警の縄張り争い、
官僚と現場の衝突、浪人中の息子の東大受験など
様々な出来事が同時進行していきます。
もうお決まりのワンパターンなんやけど、これが
おもろいんですよね~!もう水戸黄門的安心感。
今回も幼なじみの伊丹刑事部長がめっちゃええ味。
テレビドラマでは古田新太が演じてるのですが、
その印象が強いんで、文章を読んでてもその顔が
頭に浮かんでしまうんですよね(;^_^A
高田郁 「八朔の雪」 [本]
読書家のkeroyonさんが感動で鳥肌たったという
時代小説短編集。これは読んでみんとあかんよね!
初めての高田郁作品でしたが、感動でした~!!
主人公の澪ちゃんは関西人。ある深い事情で東京の
蕎麦屋さんで働きながら艱難辛苦を乗り越えていく
お話ですが、成功したと思ったらすぐ次の困難が
登場するという半端ない受難っぷりです。
でも健気に頑張る澪ちゃんと、周りの人達の人情が
めっちゃ暖かくてほっこりした気分になれます。
良くできた江戸落語の人情噺を彷彿とさせますね。
keroさんも書いてたけど、高田さんの料理の描写が
とにかく秀逸!味や香りまで、伝わってきますよ~。
「とろとろ茶碗蒸し」なんて、もう垂涎(≧∇≦)
これは第10巻まで読んでしまいそう~。
三浦しおん 「舟を編む」 [本]
過去に本屋大賞を受賞、映画化されてる作品です。
出版社で辞書を作る馬締(まじめ)さんの物語。
一冊の辞書を編纂して世に出すということが、
どれほど大変な事か再認識させられる本でした。
膨大でかつ超アナログな作業なんやね~(;^_^A
私も辞書とは違うけど、1年がかりでカタログを
作ってるんで、校正や印刷工程はめっちゃ共感!
辞書に最適の用紙を求め製紙会社が奔走するのは
カタログの用紙でも同じなんですよ、奥さん!
主人公だけじゃなく脇役キャラも個性的で素敵。
香具矢さんもチャラい西岡さんもええ味出てます。
松本先生の最後の手紙のシーンには涙うるうる。
やっぱり三浦しをんさん、巧いわぁ!お勧めです!
誉田哲也 「主よ、永遠の休息を」 [本]
ストロベリーナイトや、ジウなど、ハードな描写の
警察小説で人気の誉田哲也作品。今回の主人公は
通信社で警察を担当する若い記者さんです。
コンビニ強盗事件を契機に14年前の女児誘拐殺人
事件とその背景が次々に浮かび上がっていきます。
ラストでびっくりの真相が明らかになるんやけど、
被害者はもちろん、その父親、そして犯人の母親も
誰もが救われないという悲しいお話です。
自分がその父親だったら同じ行動をとったかも・・・。
最後まで来て本のタイトルの意味が判る仕掛け。
とにかく描写がリアルで吐き気がするほどエグい。
でもグイグイ読み進めさせられる精緻な文章力が
誉田作品の魅力なんでしょうね。
東川篤哉 「学ばない探偵たちの学園」 [本]
東川篤哉さんの作品、初めて読んでみました。
「謎解きはディナーのあとで」が有名ですよね。
一昔前の学園ユーモア小説と言うイメージです。
主人公はこの学園の「探偵部」のデコボコ3人組。
学園に次々密室殺人が起きるけど、悲壮感など
全く無く、探偵部の面々がトリックを推理しては、
それを実験したり。お前ら遊んでる場合かい!と
ツッコミいれたくなりましたわ(;^_^A
密室殺人のトリックも、かなり無理ある感じやし、
気分が盛り上がらないまま、なんとか読了。
ブックオフで108円だったんで、後悔はないけど
二度とは買わへんやろなぁ~( ̄◇ ̄;)
ネットで調べるとこの作者、こういう軽いノリが
特長というか、ウリなんやね。失礼しました。